第204回 たんぱく質、摂りすぎてない?

第204回 たんぱく質、摂りすぎてない?
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糖質制限ではたんぱく質と脂質の割合が高く
なりますが、長期間、高タンパク質食を続けても
大丈夫なのでしょうか?

今日は、たんぱく質摂取量について考えてみました。

たんぱく質は腎臓に負担をかける?

たんぱく質の過剰摂取で気になるのは腎臓に
負担をかけるのでは?ということです。

日本人の食事摂取基準(2015 年版)によると

 

現時点では、たんぱく質の耐容上限量を設定し得る
明確な根拠となる報告は 十分には見当たらない。

そこで、耐容上限量は設定しないこととした

 

・・・となっています。さらに

 

糖尿病では、早期腎症の時期には微量アルブミン尿が出現するが、
低たんぱく質食による微量ア ルブミン尿の減少、早期腎症から
顕性腎症への進展の予防について、科学的根拠は十分でない。

健康な人でも、たんぱく質を過剰に摂取すると、
1週間程度の短期では腎血行動態に変化をもたらして
尿中アルブミンが増加するが 82)、

中期的には腎機能へ与える影響はほとんどない 83─85)。
たんぱく質が糖尿病腎症のない糖尿病において、
腎症発症リスクになるとする明らかな根拠はない。

 

・・・と記してあります。

腎臓に負担をかける理由は高たんぱく食以外にも

○高血糖
○高血圧
○過度の市販薬の使用
○感染

などがあります。

高タンパク質食だけが 腎臓に負担をかけるわけではなく
食後高血糖や塩分過多、薬の使い過ぎも腎臓を傷める事
になるので総合的に判断することが大事だと思います。

※ただし、腎機能低下がある人は
医師の指示に従い食事療法を行う必要があります。

たんぱく質の上限はどれぐらい?

しかし、腎臓以外でもたんぱく質の過剰摂取により、
体に悪影響を及ぼす可能性があるようです。

日本人の食事摂取基準(2010年度版)によると

40歳以下の健康な成人に1.9~2.2g/kg体重/日の
たんぱく質を一定期間摂取させると、

インスリンの感受性低下、酸・シュウ酸塩・カルシウムの尿排泄増加、
糸球体ろ過量の増加、 骨吸収の増加、血漿グルタミン濃度の低下など
の好ましくない代謝変化が生じることが報告され ている68)。

成人においては年齢にかかわらず、たんぱく質摂取は
2.0g/kg体重/日未満に留めるの が適当である。

・・・となっていますし、

日本人の食事摂取基準(2015年度版)では

日本人を含む調査によれば、たんぱく質の過剰摂取が
糖尿病や心血管疾患の発症リスク増 加につながる可能性がある 86─90)。

たんぱく質エネルギー比率が20%エネルギーを超えた場合の
健 康障害として、糖尿病発症リスクの増加、心血管疾患の増加、
がんの発症率の増加、骨量の減少、 BMIの増加などが挙げられる。

たんぱく質と糖尿病発症リスクとの関係を認めた研究91─94)
並び に、最近の系統的レビュー 94)では、これらの
どの事象についても明らかな 関連を結論することは できない
としながら、たんぱく質エネルギー比率が
20%エネルギーを超えた場合の安全性は確認 できない

・・・と書いてあります。何だか煮え切らない結論ですね~。
つまり、現時点では、たんぱく質過剰摂取の害は、明らかな
証拠がないけど、安全とも言い切れない、ということです。

私の考えとしては、腎機能は加齢によって衰えることや
他の病気のリスクなども 総合すると

1、たんぱく質は、できれば2.0g/kg体重/日未満に留め、

2、たんぱく質のエネルギー比率がなるべく20%を超えない

・・・ようにしておくのが、無難なのでは?と思っています。

ただ、高たんぱく食を長く続けても、全く問題のない方も
大勢いらっしゃいます。

だから、個々の体質や健康状態に照らし合わせ、慎重に
行えばいいのではないかと思います。

意外に摂っているたんぱく質

さて、ここまで読んで

「2.0g/kg体重/日のたんぱく質なんて、簡単には食べられないよ」
・・・と思いませんでしたか?

しかし、
糖質制限は、たんぱく質をかなり摂っています。
2.0g/kg体重/日を超えていることも多いです。

一例を書いてみます。

………………………………………………………………………………

朝食(自宅にて)      たんぱく質の量

糖質制限パン          10g

卵とツナのサラダ
(卵1個 ツナ30g)       16g

カフェラテ            4g

(たんぱく質合計 30g)

………………………………………………………………………………

昼食(コンビニ)

サラダチキン          28g

キャベツ            1.5g

味噌汁             2.5g

納豆                8g

(たんぱく質合計 40g)

………………………………………………………………………………

間食

ソイジョイ           5.5g

6Pチーズ1個          4.5g

(たんぱく質合計 10g)

………………………………………………………………………………

夕食(外食)

大戸屋でホッケ定食、ごはん抜き 40g

(たんぱく質合計 40g)

………………………………………………………………………………

一日のたんぱく質量 120g

 

・・・になります。文で書くと分かりにくいですが
食べるとあっという間です。人によっては物足りなく
思うかもしれません。

 

この食事では

体重が、60㎏の人ならば、60㎏×2g=120g
・・・なので、たんぱく質の摂取量は
「2.0g/kg体重/日」 以内で収まります。

でも、50㎏の人がこの食事をしたらどうでしょう?

50㎏×2g=100gを目安とすると、たんぱく質は
20gほど、摂りすぎになっています。

たんぱく質、意外に摂っていると思いませんか?

たんぱく質はいろいろな食材に含まれている。

たんぱく質は、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品
だけではなく

調味料の味噌、野菜、ナッツ、果物、海苔
主食のご飯、パン、麺など

油脂以外のカロリーのある食材全てに含まれています。

だから、意識しなくても案外たくさん食べています。

更に、糖質制限スイーツやパンなどは、糖質を控える分
たんぱく質の割合は高くなっています。

それらを毎日たくさん食べると、たんぱく質を多く
摂取するることになります。

たんぱく質ならば、どんな物でもいいのか、
というとそうでもなく

肉、魚、卵、大豆製品を摂らないと必須アミノ酸を
効率よく摂れません。

せっかくなら、それらを優先的に摂るようにして
間食は、たんぱく質食材だけでなく他のものに
するなど調整した方がいいですね。

まとめ

1、たんぱく質は体重当たり2gを上限にするのが無難
2、通常はたんぱく質が不足する事は少なくむしろ多い。
3、たんぱく質は肉、魚、卵、大豆など質の良い物を優先する。
4、間食はたんぱく質に偏らないように調整する。