加工食品に含まれる「リン」は骨を弱くする

加工食品に含まれる「リン」は骨を弱くする
Pocket

認知症で80歳を超える母は、2年の間に3回も圧迫骨折をしました。その痛みは相当なもので、寝返りも打てず歩けなくなってしまいます。かなり強い鎮痛薬を服用しながらトイレ歩行などは自力で続けてもらい足腰が弱らないように生活していました。
 
私自身は骨折の経験はないですが、骨が弱ると生活の質が下がってしまう事を実感しました。もちろんそれを支える家族も大変です。
今日は取り過ぎると骨を弱くするミネラルについてです。

ミネラルとは

 
ミネラルとは、無機質と呼ばれるいわゆる鉱物です。人体では骨や歯を構成する成分(カルシウムなど)であり、身体の機能を維持するためにも欠かせないものです。ミネラルというと、ミネラル水を思い浮かべる人も多いですが、動植物に広く含まれておりビタミンやアミノ酸に組み込まれていたりもします。
 
必須ミネラルと呼ばれている物は下記の16種類です。
 
 
このなかで特に不足しやすいミネラルは、カルシウム、カリウム、マグネシウム、鉄、クロム、亜鉛などです。

取り過ぎ注意のミネラルは

 
一方で取り過ぎ注意のミネラルは「ナトリウム(塩分)」と「リン」です。日本人は塩分摂取基準は男性7.5g女性6.5g未満であるのに対して、平均10g程度取っているそうです。
 
塩分の取り過ぎは血圧を上げ、腎臓に負担をかけるので出来るだけ薄味にした方がいいですね。
 
もう一つの取り過ぎ注意の「リン」は注目度は低いですが、過剰摂取でカルシウムの吸収を妨げ骨が脆くなる原因となります。リンの取り過ぎは老化を早めるのでは?という意見も最近出てきています。
 
骨粗鬆症は高齢者の病気と思われがちですが、近年では若い人でも骨量が低下している傾向があり、このまま閉経期に突入すると50代から「いつのまにか骨折」になりかねません。
 
若い人(特に女性)は、紫外線を過度に避ける傾向があり骨の形成に重要なビタミンDが十分に摂れていないことや、後に説明する加工食品の摂取量が多いことなどが関係しているようです。
 
リンの摂取目標は男性で1000㎎、女性で800㎎です。
 
令和4年の国民健康・栄養調査結果の概要によると、リンの摂取量は20歳~65歳までの男性の平均が1076㎎、女性は946㎎でした。(カルシウムは男性501㎎ 女性491㎎)これだけみるとそれほどリンの摂取量が多いとは言えないですね。
 
ただ、糖質制限で高たんぱく食にしている方はリンが高くなりやすいので、実際にはもっとリンを多く取っている可能性があります。

リンとカルシウムの比は2:1に

 
リンはとカルシウムは密接な関係があるので、バランスが大切になってきます。リンとカルシウムの比は2:1未満に抑えるのが良いとされています。
 
リンは玄米、大豆、キノコ類など幅広い食品に含まれています。一番多いのは肉や魚などのタンパク質食材です。リンが多い乳製品はカルシウムも多いのでまだいいのですが、肉や魚の切り身(小魚や缶詰除く)にはカルシウムはほぼ含まれていません。
 
高たんぱく食にしている人は、カルシウムに比べてリンの割合が少ない物を選ぶとバランスが取れます。
 
◇カルシウムが多くリンが少ないもの
こんにゃく・・カルシウムが多くリンが少ない。
野菜・・・・・マメ科の野菜以外はカルシウムが多めでリンが少ない。
 
◇リンに比べてカルシウムが少ないものは
キノコ類・・・きくらげを除いてキノコ類はリンが多いです。
大豆製品・・・納豆などの大豆製品もカルシウムよりリンの方が多いです。
玄米・・・・・玄米もカルシウムよりリンの割合が多いです。リン制限のある腎臓病の患者さんは白米を進められるそうです。
肉や魚・・・・前述のとおり。小魚など骨も食べられるものはカルシウムもリンも高い。
 
乳製品はカルシウムもリンも両方多いです。骨のためにはいいかもしれませんが、カゼインや乳糖の問題もあるのでタンパク源としてとるのはあまりお勧めできません。

加工食品に添加されているリンはもっとも悪い

 
しかし、肉や魚よりもっと悪い「リン」があります。食品添加物に使用される「無機リン」です。肉や魚や卵に含まれるリンは有機リンで吸収率は40~60%です。大豆製品などの植物性食材のリンの吸収率は20~40%だそうです。
 
それに比べて食品添加物に使用される無機リンは90%の吸収率とされています。原材料表示をみると「リン酸●●」と書かれているものもありますが、食品添加物のリンは、ほとんどの場合「リン」とは書いておらず、結着剤、乳化剤、pH調整剤、イーストフード、膨張剤な酸味料などと記されているそうです。
 
これらの添加物は食肉加工食品(ハムやソーセージなど)、チーズ、菓子パン、清涼飲料水、アイスなどの加工食品に多く使われています。
 
肉や魚や大豆にリンは多いですが、良質のタンパク質なので取った方がいいです。なので、できるだけタンパク質源をハムやソーセージに頼らず生鮮食品の肉にするなど、加工食品をできるだけ減らすことでリンを抑えるのがいいようです。