第203回 中途半端な糖質制限に注意!
極端な糖質制限は危険、とよく言われます。
対する、緩い糖質制限には、肯定的な人が多いようです。
糖質を、少しは摂るので続けやすく、身体に優しい
イメージがあるのでしょう。
でも、果たして極端な糖質制限は危険で、緩い方が安全・・
なのでしょうか?
緩い糖質制限の方がコントロールが難しい。
私は現在は炭水化物を少量食べる、緩い糖質制限をしています。
時々、糖質量をチェックし血糖値を測るのですが
そこで気付いた事があります。それは
緩い糖質制限の方が、コントロールが難しいこと。
「少し糖質を摂っていい」という気持があると、その「少し」を
過大解釈してしまうのです。
以前、「糖質制限は長期に行うと死亡率が増加する」
いう論文が出された事がありました。
よく読むと、
それは糖質の占める割合が3〜4割の中糖質食の実験結果でした。
おかずは、そのままご飯だけ減らして茶碗3分の2程度にすれば
糖質の割合は3〜4割になります。
そして、インスリン分泌力が弱い人は、その程度の
糖質量でも、血糖値は正常値(140)を超えます。
話を戻して、緩い糖質制限の定義は
1食40g上限の糖質×3 間食で10gの糖質、合わせて130gの糖質
に抑えましょう、となっています。
糖質を40g未満にすれば、私の経験から見ても血糖値は
140以内に収まります。
ですが、人参、タマネギ、大根、キャベツなど糖質の多い
野菜や豆、味噌、とろみの付けた調理や市販の調味料など
を使用し、主食として、ご飯茶碗半分食べると、糖質は
あっという間に40gを超えます。
緩い糖質制限と中糖質食の差は、ほんの僅かです。
油断していると知らぬ間に血糖値が上がってしまっています。
慢性炎症で膵臓のβ細胞が障害される。
だいぶ昔のマウスの実験では、高脂肪食を与えたマウスで
膵臓のβ細胞がダメージを受けたという結果が出ています。
更に高血糖に晒される事でもβ細胞は障害を受けます。
高血糖と高脂肪の組み合わせは、膵臓にも悪く、
血管内皮も糖毒と脂肪毒に晒される事になります。
「ご飯をちょっと減らして糖質制限」
「減らした分、揚げ物も食べ放題」
「食べる順番を守れば大丈夫」
・・・と思いながら行う中途半端な糖質制限が、実は一番危険。
先に述べた「中糖質食で死亡率が増加した」のは、それが原因
だったのかもしれません。
尚、最近では高脂肪食そのものがβ細胞に障害を起こすのでは
なく、慢性的な炎症が引き起こされることが直接的な原因に
なっているのでは?と推測されているようです。
慢性炎症といえば、リノール酸の摂りすぎです。他にも
歯肉や腸など体内でくすぶっている慢性炎症もあります。
総合的に体のチェックをしてみなければ、本当の原因は
分からないと思います。
緩い糖質制限を行う時の注意点
それでも緩い糖質制限を続けたい場合はどうすれば
いいのでしょう。注意点についてまとめました。
1、糖質の多い物少ない物をしっかり把握する。
先ほども書いたとおり、「何となく糖質を減らしたつもり」
では、中糖質食になり知らぬ間に血糖値が上がっている
場合があります。最初に糖質の多い物、少ない物を把握
しておくことが大事です。
2、市販の揚げ物、惣菜はなるべく食べない。
2014年10月に米国で発表された
「妊娠前の揚げ物摂取と妊娠糖尿病リスクの関連」
を検討したコホート研究によると
妊娠前の揚げ物摂取量が多いと妊娠糖尿病になる
リスクが増えるという結果になったそうです。
特に家庭で揚げた物より、市販の揚げ物の摂取が
多い方が、妊娠糖尿病が有意に増加していました。
高温調理で発生したAGE、酸化油、トランス脂肪酸などが
妊娠糖尿病発症の原因になったのではと推測されています。
家庭では、何度も油を使用する事は少ないため、市販の
揚げ物よりは、まだいいのですね。
3、糖質を食べたい時は昼に。そして運動をする。
血糖値の上昇の範囲は140まで、2時間後は空腹時と同じになるのが
正常人とされています。でも本当は、血糖の変動が少ない方が
身体にはいいのです。
そういった事から考えると、毎食、140前後まで血糖値を上げる
食べ方よりも、血糖の上がりやすい朝と、エネルギー消費が減り
膵臓が疲労していそうな夜は糖質を出来る限り抑え、
昼に普通に食べた方がいいのではないでしょうか。
もちろん、血糖値が上がらないように、消化吸収された頃を
見計らって(おおよそ30分〜1時間ぐらい)上半身の運動や
ウオーキングをします。
そうすることにより、運動による糖の消費が出来て、更に
インスリンに依存せずブドウ糖を筋肉に取り込めるので
血糖値の上昇が抑えられます。
まとめ
緩い糖質制限をする場合は、糖質量の管理をしっかり
行う事が大事。悪い油を避け、食べた後は運動しよう!
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