新型コロナの後遺症は慢性上咽頭炎が原因?

新型コロナの後遺症は慢性上咽頭炎が原因?
Pocket

コロナに罹患し治療した後も後遺症が残る方が少なからずいるようです。検査をしても異常なし。後遺症の症状は「慢性上咽頭炎では?」と思えるものです。

今日は慢性上咽頭炎の本「道なき道の先を診る」を読んだ感想と、上咽頭擦過治療(EAT治療またはBスポット治療)について書こうと思います。

道なき道の先を診る 慢性上咽頭炎の再興が日本の医療を変える

新品価格
¥1,650から
(2020/8/23 23:43時点)

新型コロナの後遺症とは?

国立国際医療研究センター・ 国際感染症センターに勤務する忽那賢志医師によれば、新型コロナの治療を終えて退院した患者さんの中には、慢性症状に悩んでいる方が一定数いるようです。

新型コロナの後遺症 症状と頻度は?

新型コロナから回復された方を外来でフォローアップしていると、ときどき慢性症状に悩まされている患者さんがいらっしゃいます。

「体がだるい」「胸が痛い」「息苦しい」「動悸がする」などといった症状を訴えられる患者さんが多い印象です。

しかし、検査を行っても特に異常は見られず、新型コロナ後のいわゆる「コロナ後症候群(post-COVID-19 syndrome)」ではないかと仮診断し経過観察を行っていました。

テレビでは微熱や倦怠感で大学に通えなくなっている方が紹介されていました。Twitter検索でも、新型コロナは治療を終えたのに、長期にわたり倦怠感・微熱・息苦しさで悩む方が意外にいる印象を持ちました。

コロナの後遺症は今のところ原因がハッキリしていませんが、これらの症状は、慢性上咽頭炎とよく似ています。

また、炎症を抑えるためにダラダラと天然のステロイドが分泌され続けた結果「副腎疲労症候群」に陥り、慢性疲労症候群を起こしてしまっている可能性もあります。

慢性上咽頭炎はのどの痛みや鼻づまりといった耳鼻科症状だけでなく、頭痛や肩こり、長引く倦怠感や不眠などの自律神経失調症的な症状も引き起こすことで知られています。

新型コロナウイルスなどのウイルスは、鼻腔からも入って奥にある上咽頭にひっつきます。上咽頭が炎症を起こし、そのまま慢性化してしまえば、コロナの後遺症のような症状が起こることは十分に考えられますよね。

慢性上咽頭炎は耳鼻咽喉科でも見過ごされる

鼻の奥、突き当りにある箇所を上咽頭といいます。肉眼で見ることができないその場所は、活性化されたリンパ球が存在し免疫機能としての重要な役割を担っています。

しかし、ここの慢性炎症が続くとサイトカインと呼ばれる炎症物質が全身を巡り、腎臓や皮膚、関節などにも炎症を引き起こすことがあります。

このように重要なカギを握る「慢性上咽頭炎」ですが、実は耳鼻咽喉科では見過ごされてしまう病気でもあります。

「道なき道の先を診る(堀田 修 相田 能輝 著)」によれば、耳鼻科で使われる内視鏡の観察だけでは慢性上咽頭炎と診断するのは難しく、普通の耳鼻科では「異常なし」とされてしまうことも多いのだとか。

EAT治療(Bスポット治療)とは?

上咽頭擦過治療(EAT治療・Bスポット治療)は、鼻や口から0.5%~1%の塩化亜鉛液を浸した長い綿棒を入れ上咽頭を直接擦過する治療です。その時に痛みや出血があるとはじめて「炎症がある」と判断されます。治療と診断が一緒になる感じですかね。

治療を一度受けただけで劇的に良くなることは少なく、改善するまで2~3か月はかかるようです。通院の頻度は医師の方針や本人の症状によって違い、毎日、週に2~3度、、週に1回、月に1回などいろいろです。

怪しい民間療法のように思えますが、50年以上前から行われている治療で、保険診療も認められています。

慢性上咽頭炎の治療で改善する症状は?

慢性上咽頭炎の治療で改善する症状は多岐にわたります。詳しくはこちらのサイトをご覧ください。

上咽頭擦過治療(EAT治療)では、自律神経系疾患の一つ「線維筋痛症」やIgA腎症も改善する事が分かっています。また、HPVワクチンの副反応によるつらい症状で悩まされていた方たちも、このEAT治療で改善が認められています。

医学が進歩したいまでも原因が分からない症状に悩まされる患者さんは多いです。

私にも経験がありますが(というか、現在進行形)「これといって原因がない」のに症状があるのが一番つらいんです。「詐病」のように見られ、家族に分かってもらえないこともあります。

この治療法が普及すれば、どれだけの人が救われるか・・と思います。

非科学的だと言われてしまった過去

こんなに患者にとって利益のある治療法なのに、非科学的、万能な治療などあるはずがない、と判断され衰退した過去があるそうです。

本によれば、この治療は1960年代から行われていました。最初に始めたのは、大阪医大耳鼻科教授の山崎春三医師で、上咽頭炎が全身に及ぼす影響や治療の成果について学会発表もされていたそうです。

その後、Bスポットの名付け親でもある堀口氏の精力的な活動により、その治療は広く知られるようになりました。

しかし、繰り返しになりますが、学会では「非科学的」と一蹴され普及には至らなかった。山崎氏の残した「生体は物質そのものではない」「臨床と基礎医学は異物」「真剣なる体験に基づくことを銘記しなければ」の言葉が、とても印象に残りました。

余談ですが、私は2014年にオーソモレキュラーjp(分子整合栄養医学)の講座に通っていました。そこでは目からうろこの学びを得ることができました。

至適濃度の栄養素を補給することによって「本来の身体の機能が発揮される」「薬を使わなくても「未病」の症状が改善する」ことを知り、この医学がスタンダードになるといいな~と思ったものです。

オーソモレキュラーを「トンデモ医学」と認定している方がいますが、現時点で科学的に証明されていないけれども、症状が改善する方法は多数存在します。

「病気が治る」とは、患者の立場からすれば、症状がなくなる又は生活に支障がないレベルまで改善することです。検査で異常がなくても症状があれば病気は治っていないんですよね。

もちろん病気を治すのは患者自身。生活習慣の改善やプラス思考など考え方を変えることも必要です。けれども辛いときは、プラスに考えられないこともあります。

「この治療でよくなる人もいる」という事実がある以上、非科学的と決めず前向きにとらえてほしいですよね。

EAT治療は万能ではない

今回紹介した「道なき道の先を診る」の著者、堀田医師は、「この不思議な現象を特別な思い入れを持たず内科医として冷徹に眺める立場にある。またそれがこの治療法を現代の医療現場に最善の形で取り入れるために私達が担う役目だと心得る」

と書いています。EAT治療を「どんな難病にも絶対に効く」と派手に宣伝してしまえば、せっかく認知が広がってきているこの方法も「怪しい」「トンデモ」と言われてしまうことになりかねません。

堀田医師は、本の中で「効果を感じられなかった疾患」についても、正直に書いています。時間はかかるかもしれませんが、客観的な視点で淡々と広めていければいいなと私も思います。そして近い将来メジャーな治療法になってほしいです。

後遺症で悩む人は栄養療法とEAT治療を試しては?

最後になりますが、新型コロナの後遺症で悩む人は、慢性上咽頭炎と副腎疲労症候群、そこから来る慢性疲労症候群を起こしている可能性が高い、と私は思います。

慢性疲労症候群の原因は様々ですが、副腎疲労症候群から来ることもあります。そして、慢性上咽頭炎も直接の原因となり自律神経の不調をきたし、頭痛、肩こり、微熱や不眠、息苦しさなどを引き起こしているのかもしれません。

まずやってみることは、身体の基礎となる栄養をしっかり補充することではないかと思います。プロテインより速やかに消化されるアミノ酸を優先してとり、エネルギーを補うためにMCTオイルなども利用する。

ビタミンCは副腎疲労に欠かせません。もちろん、マグネシウムをはじめとしたミネラルサプリも合わせてとる。どうしても食べられないときは、タンパク質やビタミンミネラルが総合的に含まれている栄養機能食品を利用する。

そして、少し元気が出たら思い切ってEAT治療を受けにいってもいいかもしれません。こちらのサイトに、治療が受けられる施設が掲載されています。

上咽頭のケアも大切で、定期的な鼻うがい、口呼吸をやめる、睡眠をしっかりとって自律神経を乱さない生活も大事だそうですよ。ちなみに私もEAT治療で通院している最中です。