PCR検査を受けられない体制が新型コロナを広めた

PCR検査を受けられない体制が新型コロナを広めた

新型コロナウイルス感染症の診断に必要なPCR検査。しかし「帰国者接触者相談センターの関所」が立ちはだかり検査を受けられない人が続出しています。孤発例が増加している現在でも「周囲にコロナ感染者がいない」という謎の理由で検査対象にならなかったり、保健師による電話の聞き取りだけで「コロナではない」「コロナだとしても軽症」と判断されたりします。

このため、明らかに普通の風邪とは違う体調不良なのに検査もできず、中途半端な自宅療養を余儀なくされている人が多数いると思われます。私はいまのような「すぐに検査が受けられない体制を続けてしまったこと」が院内感染を招き自粛延長の結果になったと考えています。

緊急事態宣言の延長はコロナ収束のためではない

2020年5月4日、日本政府は緊急事態宣言の解除の見送りを決定しました。その理由は「コロナの収束のため」ではありません。新型コロナ感染症は一部の人にとっては「命の危険がある病気」で簡単に感染する「やっかい」な疫病ですが、ほかにも怖い病気は沢山あり、それが一つ増えてしまったと考えるしかないだろうと思います。

新型コロナ感染症は6割の集団免疫がつかないと収束しないらしいので、今後はワクチンが開発されたり有効な治療法が見つからない限りは、「三密」を気にせず遊んでいい!ということにはなりません。

では何のための自粛なのかといえば「医療崩壊を避け、国民が安心して適切な医療を受けられるようにするため」。つまり欧米で起きているような「死にそうなのにロクな治療を受けられない」恐ろしい状況を避けるため、です。

新型コロナ感染症にしても、それ以外の怪我や病気にしても「いざという時に治療を受けられない」のは非常に困ります。ステイホームや医療現場を守るための取り組みは、巡り巡って「自分たちのため」にもなるのです。

症状があれば誰でも検査する体制を作るべき

政府が、いままでコロナの検査を絞っていたのは「重症者を救うため」「院内感染を防ぐため」と説明していました。専門医は科学的な立場から「検査を絞るのは当然」と言っていましたし、検査を求めて受診すると院内感染が起こる、と説明をしていました。

だから、我慢強くて上からの言いつけをよく守る日本人は「悪くなるまで検査を受けずに我慢」をしていました。しかし、いままで検査を絞っていたのは単に「院内感染を防ぎながら正確に検査する体制の拡充ができなかった」だけでした。

昨日、尾身座長が検査が増やせなかった理由を述べていましたが、こんなの最初から分かっていた事ですよね?日本は有事の備えが全然できていなかったんです。それを最初から認めて「検査体制を何とか拡充するから、どうかそれまでお待ちください。」と言うべきでした。その方が納得度が違います。

私は検査は変に絞ることはぜす、症状がある人にはどんどん行うべきと思います。保健師の振り分けは絶対に不要ですし、医師の判断も必要ないかも・・?とさえ思っています。本人にしか分からない自覚症状をていねいに聞かずに「気のしすぎでは?」と言ったり「風邪でしょう」と安易に言う医師が一定以上いると思うからです。

受診する医師の選定が運不運を決めると言っても過言ではありません。医師に「風邪じゃない?」「様子みようか」などと振り分けられてしまえば、治療の機会が奪われます。事実、埼玉県で高齢者で熱発と味覚嗅覚障害があったにも関わらず解熱剤のみで帰宅させられてしまい後に死亡した方もいます。

また、検査をすれば感染の拡大も防げます。「風邪かもしれない」「花粉かもしれない」といった中途半端な状態よりも「コロナです」と言われた方が、自宅待機でも注意の仕方は全然違うでしょう?もちろん偽陰性になる確率もあるので、「コロナの可能性もあるから、2週間は外に出ないでね」と念押しすることも超重要ですが。

自宅療養を選んだとしてもコロナだったら「友達と会う」なんて絶対にしませんよね?「ただの風邪かもしれない」と思うから「解熱したから大丈夫」と安易に仕事に行ったりするんです。そういう人(解熱後未検査で仕事に行く人)いまでもいるんですよ?2週間たたずに仕事に行ったらうつしてしまうかもしれないのに。検査しない体制なのでその人を責められませんけれどね。

検査難民が院内感染を広めてしまった

医療現場を守るための最大の方法は「医療従事者の感染を防ぐ」ことです。しかし、体調が悪いのに保健所に検査を断られる検査難民が増えてしまった事も問題でした。帰国者接触者相談センターに電話しても「明らかなコロナ患者さんとの接触」や「死にそうなほど肺が苦しい」状態でなければ、近所のクリニックに受診を、と言われます。

でも、私の地元の病院では(少なくても3月中旬あたりまでは)普通の外来で「全ての患者はコロナとみなせ」という体制は取られていませんでした。37.5℃以上の発熱が4日間という目安が裏目に出てしまい、「それ以下の症状の人」が普通に受診していましていたのです。

もし、ちょっとした微熱や風邪症状でもすぐに検査する体制が整っていれば、普通の病院に隠れコロナの人が紛れ込む確率は減っていたでしょう。検査を絞ったのが普通のクリニックや総合病院内での院内感染を広めてしまったのは明白です。武漢からのコロナ感染が流行してから3か月の間に何とかしてほしかったというのが正直なところです。

検査難民は救急医療を逼迫する原因にもなっている

また、すぐに検査を受けられない状態は救急医療を崩壊寸前に追い込む原因にもなっています。検査が受けられないまま重症になってしまった人はこの体制の一番の被害者で、救急医療現場は大変な状態になっています。一方で軽微な症状でありながらも、不安から呼ぶ人が増えた事も救急医療がひっ迫する原因になっているようです。

「息苦しい」けれど熱は高くない、どっちつかずの症状が続く人は結構な数でいます。(私はそういった人もコロナの可能性は限りなく高いと思っています。自治体や病院独自の検査でコロナ抗体を持っていた人が一定の割合でいたことから考えても、発熱がなくても「コロナ」ではない、とは言い切れない。)

しかし「関所」があるので検査はできません。「息がしづらい」のはかなり不安です。呼吸が普通にできないだけで死の恐怖を感じるし、手遅れになったらどうしようと思います。だから呼ぶんです。

人は自分の状態を客観的に知っておくだけでかなり落ち着きます。そうすれば「救急車呼ばなくても大丈夫」と判断でき結果的に救急医療がひっ迫することは防げます。また、ていねいな聞き取りと適切なアドバイスができる医師に巡り合えれば、それだけで安心しますし、救急車を呼ぶ判断を誤らずに済むでしょう。

自粛警察を加速させる「見せしめ報道」は今すぐにやめよう

論点は少しズレますが、どうしても報道関係者に言っておきたい事があります。「感染者に罰を与えるかのような見せしめ報道をしてはいけない」ということです。こんな報道の仕方をすれば「行動履歴」を正直に言わない人が増えるだけです。また、症状が軽ければ「検査せず黙って普通に生活しよう」という人も出てくるでしょう。

いま日本では「自粛警察」と呼ばれる国民がお店や個人の行動を厳しくチェックし批判しています。つい最近では山梨県に帰省していた女性の行動が大きく取り上げられました。この報道に関しては「感染したことは仕方ないが、分かっていながら取った行動が問題」との意見が大多数です。しかし、私は女性を犯罪者のように扱う報道の仕方に疑問を感じざる終えません。

もちろん、女性のとった行動が原因で感染が広がり結果的に誰かを死に至らしめる可能性はある。しかし、隠れコロナと呼ばれる無症状感染者も感染を広めて誰かを死に至らしめる可能性も十二分にある。

コロナは遊びの人には感染し、仕事の人には感染しない、なんてことはあり得ない。「仕事」でも「必要な買い物」でも「ただの遊び」でも接触や飛沫の経路があれば感染は広がります。

自粛警察官の引き金を作っている報道は、「遊びで感染した人は倫理的にけしからん」と言う世論を作りたいだけ。見せしめにして皆を震え上がらせる。すごく嫌なやり方ですよね。

自粛警察をしている人達に言っておきたいのは、お店や個人の行動を「見張っている」場合じゃないですよ、ということです。今まで政府がやってきた方針が果たして妥当なものだったのか検証して、今後似たような事態に直面したときに二度と同じ過ちを繰り返さないように政府を「見張って」いるべきです。

コロナを甘くみて対策を怠っていた日本政府

新型コロナウイルス緊急事態宣言が発令されてから約1月が経過しました。当初は5月6日までの自粛要請の予定でしたが、新規感染者の減り具合が緩慢なことから油断はできない、として5月31日まで延長されることとなりました。

でも、ほとんどの人が1か月で外出自粛が終わるとは思っていなかったはず。たとえば、新型コロナ発祥である中国武漢は都市封鎖をして徹底的に市民の外出を禁止しました。それでも一旦収束するまでに2か月以上かかっています。いまの日本の後手後手のゆるゆるの政策でコロナの感染者をたった1か月で大幅に減らせるはずがない。専門家の意見など聞かずとも誰でも予想できたことです。

私は経済政策には詳しくないので何とも言えませんが、対応が遅すぎる。生活が立ち行かず困っている人をすぐに助けること、家賃の支払いを待ってもらえる制度を早急に作るなど、早いうちに対策しておくべきでした。1月後半から流行の兆しが見え始めていた新型コロナ感染症ですが「日本はここまでにならないで済むだろう」とタカをくくっていた結果でしょう。少し前までは「桜を見る会」の問題ばかり審議していましたので。

医者は人の根底にある不安をないがしろにしてはいけない

最後に医師たちに言いたいことがあります。実際の医療に携わる医師たちは「検査は絞って当然」と思うようです。ヤフコメにあった医師の発言を借りれば「現在は思い込み病ばかり増えている、これでは本当に必要な人の治療が立ち行かなくなる」とありました。なるほど冷静に考えれば理屈は分かります。

でも「医師」や「専門家」の方たちは、科学や総合的な判断や理性だけに頼り過ぎて肝心なところを見落としています。それは人の根底にある「死の恐怖や不安」です。

都内では高熱が何日も続く明らかなコロナ疑いでも、検査まで5日以上待たされることもあるそうです。今の検査体制では、だるさや息切れがひどくなり、自分で電話できるかどうかの「肺炎で死にそうな状態」になってから、はじめて優先的に検査をしてもらえます。

果たして、こんな体制で自分や大切な家族や高齢の親が高熱を出したり息が苦しかったりしたときに、冷静でいられる自信がありますか?もちろん患者の立場に立てる医師もいますが「思い込み病」と切り捨てる医師は「人間の身体と心は密接なかかわりがある」という根本が分かっておらず医者としての資質に欠けると思います。

現場で頑張っている医師を非難するつもりはありません。でもいま医療が大変な状況になっているのは「患者」のせいではありません。批判の矛先を患者に向けないでください。

 

 

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